サッカーファンの思い出に残る、オリンピック予選の試合として、
真っ先に名前の挙がるのが、メキシコ五輪以来、28年ぶりの五輪出場を決めた、
1996アトランタ五輪予選・準決勝の、サウジアラビア戦である。
現在とは違い、ワールドカップどころか、
五輪出場すら、夢のまた夢だったこの時代、
全国のファンが固唾を飲んで、テレビの前で日本に声援を送っていた。
日本不利の前評判の中、前半4分、後半12分に、
当時のエース、前園真聖のゴールで、2‐0とリードする。
その後、サウジアラビアに1点を返されるものの、
中田英寿の、ゴール寸前でのクリアもあり、2‐1で勝利する。
1993年にJリーグがスタートし、アンダー世代の育成も進み、
世界大会出場も果たす中、すべての関係者の努力が、結実した瞬間であった。
また、前園を筆頭に、世界への扉を切り開く、
優れた個人が現れた瞬間とも言えるだろう。
その後も、2000年のシドニー五輪以外の予選では、
いつも苦杯を喫し、五輪出場が危ぶまれながらも、
かろうじて、予選を突破してきた。
特に、2008北京五輪予選の際は、サウジアラビアに引き分けた後、
カタールに敗れ、近年では、一番の危機だったと言える。
1995年以来、7大会連続で出場していた、
U-20ワールドカップへの出場が途切れて久しいが、
今の若い世代は、世界で戦うための絶対的な経験値が足りない。
何しろ、同世代の中で、アジアですら勝てていないのだ。
全国民の後押し無くして、男子サッカー五輪出場はありえない。
出場が当たり前と思わず、今こそ、あのアトランタ五輪予選当時の熱気が、
日本サッカー界には、求められているのではないだろうか。